診察で体じゅうに出るリウマチのサインをチェック

やっかいな合併症も早めにみつける
リウマチの診察

関節リウマチは、全身に病変が起こる病気です。そのため、さまざまな角度からみていく必要があります。関節に起こる症状、関節以外の部分に起こる症状、併発する病気、薬の副作用など、さまざまな要素を照らし合わせながら、総合的に判断することが求められるのです。

関節リウマチは、注意深く丹念に、経過をチェックしていく必要がある病気だからです。たとえば、関節リウマチと診断がついたとしても、その後の経過の中で、別の病気である可能性が出てくることもあります。

また、病状の変化を見守りながら、治療の方向を確認したり、変更したりすることも必要になります。

診察のたびに、眼をみて貧血や出血をチェック

眼の結膜(白目の表面と、まぶたの衷をおおう粘膜)は、診察のたびに医師がみるところです。貧血や充血があるかどうかをチェックするた めです。関節リウマチになると、程度の差はあれ、大多数の人に貧血が起こります。貧血は血液検査でもわかりますが、医師がみて確認します。

しかし、貧血が徐々に起こっているときや、結膜に充血がある場合、結膜の状態だけで貧血を判断するのは困難です。逆に、結膜をみて明らかな貧血とわかる場合、その貧血はかなり進んだ状態です。

また結膜の充血は、シェーグレン症候群を併発していることが考えられます。ほかに、眼や口が渇く症状がないか確認します。シェーグレン症候辟が疑われる場合は、診断のために眼科医を紹介することもあります。

ひじ、首、胸をみて合併症をチェック

ひじの周囲のしこり

コブ状のリウマチ結節ができやすいところです。

首や周囲のはれ

ほかの病気を併発していないか、「はれ」の症状を調べます。甲状腺の病気は、首前部のはれをチェックし、首やわきの下のリンパ腺がはれていないかもみます。首を触診して圧痛があるかどうか、声のかすれがないかもみます。

このような症状から、甲状腺の病気が疑われる場合は、ただちに血液検査を行い甲状腺ホルモン、抗体、甲状腺刺激ホルモンの量を調べます。

また、シェーグレン症候群では耳下腺のはれが、ほかの膠原病では首のリンパ腺のはれがあらわれることがありますので、チェックします。

胸部の異変

関節リウマチは、心臓や肺の病気を併発することがまれではないため、聴診、胸部X線検査、心電図、心エコーなどで定期的にチェックをする必要があります。診察の際は、両方の肺の下に通常とは違う音が聞こえないか聴診し、間質性肺炎の併発をチェックすることが重要です。疑わしい場合は、さらに肺のCT検査を行います。

上肢と下肢は、最重要なチェックポイント

上肢と下肢のチェックは、関節リウマチの診察の中でも特に重要です。手と手指、腕、ひじ、肩、足と足指、ひざ、股に至るまで、関節の状態をみます。また、運動機能や、血管炎による症状があらわれていないかなども、系統的に調べる必要があります。

関節の状態

上肢、下肢のすべての関節にわたって、どんな「痛み」があるか調べます。痛みは、じっとしていても痛いのか、押したときに痛むのか、動かしたときに痛むのか、その区別も重要です。関節に「はれ」「熱感」「変形」があるかどうか、また関節を動かせる範囲「可動域」をチェックすることも重要です。

運動機能

関節リウマチになると、一般的に握力が弱くなります。これは、上肢の運動機能を知る目安になります。

肩やひじの関節の動きは、患者さんに「バンザイ」をしてもらって、状態をみます。

手と手指の関節の状態や筋肉の状態は、患者さんに「グー、チョキ、パー」をしてもらって、その動きから判断します。そのほか、「ボタンがついたブラウスやシャツの脱ぎ着ができるか」「手が囗またはおしりに届くか」「手が上着の反対側のポケットに届くか」といった動作チェックも機能を判断する材料になります。

歩行能力のチェックは、下肢の状態をみるヒで重要です。「制限なく歩ける」「30分以上、つづけて歩ける」「30分以内なら、つ づけて歩ける」「室内だけなら歩ける」「歩けない」の5段階に分け、患者さんがどの段階にあるかをみます。歩くとき、つえや松葉づえが必要かどうかもチェックの対象となります。

そのほか、バス・車こ電車などの乗り降り、階段の上り下り、洋式トイレの使用が可能かどうかも、運動機能をみる目安となります。

血管の異常

血管の異常には注意が必要で、診察のときにチェックします。血管に異常が起こると、次のような症状があらわれます。

レイノー症状

皮膚がまだらに変色する症状です。通常は寒冷刺激に反応してあらわれます。また、血管に炎症が起こる血管炎では、皮膚や神経の症状があらわれます。

つめの周辺や指の皮膚の病変
下腿潰瘍

ひざから足首までの間の皮膚に組織の欠損ができます。

橈骨神経マヒ

手首のところで手がたれ下がり、伸ばせなくなります。

腓骨神経マヒ

ひざの下の外側にある、骨の出っぱり裏の神経がマヒし、足先が上がらなくなります。そのため、スリッパが自然に脱げてしまう、といったことが起こります。

頚椎の異常がわかる腱反射のチェック

関節リウマチになると、40~60%の人に、なんらかの頚椎の障害がみられます。頚椎には脊髄(中枢神経)が入っていて、そこから枝分かれした神経が四肢に伸びています。診察では、この神経をチェックすることで類椎の異常を調べます。

足をコントロールしている神経の働きを調べるときは、打腱器でひざのお皿の下(大腿四頭筋の臚があるところ)をたたいて反射をみる「膝蓋腱反射」を行います。ひざの下をたたくと、通常は、大腿四頭筋の腱が収縮して足がはね上 がります。

しかし、反射神経に異常があると、はね上がりません。これによって、足をコントロールしている脊髄に異常があるかどうかがわかるわけです。

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