リウマチの検査の中心、血液検査

炎症反応や病気の活動性などをみる
リウマチの血液検査

関節リウマチでは、最初の診断のときも、また治療中もさまざまな検査をしますが、なかでも血液検査は中心的なものです。X線検査が形の変化を知る検杏だとすると、血液検査は数値の変化(量的な変化)をみる検香です。

血液には、さまざまな細胞や物質が含まれていて、特に免疫にかかわる細胞や物質の多くは血液にあります。酸素を体じゅうに届けて二酸化炭素と交換する赤血球、免疫の働きの中心的役割をする白血球、出血を止め血管を修復する血小板といった細胞があるほか、たんぱく質、糖質、脂肪、ミネラルなどの物質がとけ込んでいて、これらの動き(数値)は、体内の健康状態を敏感に反映します。

つまり、血液に含まれているもの の量的変化をみれば、体の中で起こっていることを読み解くことができるわけです。関節リウマチの場合も、血液検査から、病気を確定したり、ほかの病気と判別したり、病気がどんなレベルにあるか調べたり、薬の副作用をみるなど、多くの判断材料を得ます。

炎症の状態を知る「赤沈」「CRP」「MMP-3」

関節リウマチは、関節内の滑膜に炎症が起こる病気です。そこで血液から、体内で炎症が起こっているか、その強さはどれはどかをみます。 炎症反応の検査は、治療中も重要です。炎症がコントロールできていない場合は、いまの薬では効果がないことを示し、使っている薬を見直す必要があります。

赤沈(赤血球沈降速度)

静脈から採取した血液を、かたまらないように抗凝固剤を入れて、細長い管(ピペット)に移します。その管を立てておくと、赤血球は重いため下へ沈んでいきます。この赤血球の層が1時間に何ミリ沈むか、速度を調べます。正常植は男性で1~9mm、女性は3~15mm。これより10mm以上高いと、体内で炎症が起こっている可能性があります。

関節リウマチでは、中期で30~40mm、高度期で80mm以上にな るとされています。日常の診察では30mm以上と以下で分け、関節リウマチの活動性がコントロールされているかどうかの目安にしています。ただし赤沈は、貧血、感染症、が ん、腎不全などがある場合や、妊娠している場合も高くなります。

赤沈の数値だけで関節リウマチと断定することはできませんが、数値は炎症のレベルと連動しますので、病気の程度や治療の効果をみるには有効です。

正常値

男性は1時間に1~9mm、女性は3~15mm

CRP(C反応性たんぱく)

赤沈の数値のあらわれ方には個人差があるため、同時にCRPをはかります。CRPとは、体内で炎症、感染、組織障害などの異変が起こると肝臓でつくられるC反応性たんぱくのこと。異変が起こって19~24時間後に血液中にあらわれます。

正常値は、「陰性(-)」。関節リウマチの炎症だけでなく、ほかの膠原病やウィルス感染症でも「陽性(十)」を示しますが、赤沈と違い、貧血の影響は受けません。関節リウマチの病状が悪くなっていると、赤沈値よりもCRP値のほうが、正確にあらわれます。

正常値

陰性(-)

MMP-3

MMP-3とは、最近利用できるようになった滑膜増殖マーカーで、正式名は「マトリックスメタロプロテアーゼ-3」といいます。これは軟骨基質の成分を分解するたんぱく分解酵素で、関節リウマチの関節のはれの程度を反映するとされます。MMP-3の血中濃度が正常値を超えていると、滑膜にはれが起こっていると考えられます。

正常値

男性は120ng/ml以下、女性は60ng/ml以下

病気の活動性や副作用をみる「血液一般検査」

血液一般検査とは、血液中の血球細胞(白血球、赤血球、血小板など)の数を調べる検査で、「血算」とも呼ばれます。関節リウマチの活動性 をみるほか、関節リウマチにともなう内臓の思(常や薬の副作用などをみるために、定期的に調べられます。

白血球の数

白血球は、免疫システムの中心的な働きをする血球細胞で、正常植は、男性で3500~9300個/μl、女性は3800~1万100個/μlです。関節リウマチでは、白血球の数は増加傾向にありますが、思ったほど増えず、早期では7000個程度と、正常値の範囲にとどまります。しかし炎症が強くなったり、ステロイド薬の影響があると1万個以上 になることもあります。

また、血管炎をともなう悪性関節リウマチでも増加しますので、注意してチェックする必要があります。一方、3500個以下になると、薬の副作用や、全身性エリテマトーデスなどの他の病気が疑われます。

正常値

男性は3500~9300個/μl、女性は3800~1万100個/μl

赤血球の数、ヘモグロビン値

赤血球は血液細胞の中でもっとも数が多く、酸素を体じゅうに運んで細胞に渡し、細胞から二酸化炭素を受けとって肺にもってくる働きをします。

またヘモグロビンは、赤血球の中にある物質で、酸素をとらえる中心的役割をしています。関節リウマチでは貧血をともなうことが多いため、赤血球値とヘモグロビン値はくり返しチェックする必要があります。

また、関節リウマチの活動性と、赤血球値・ヘモグロビン値は連動することが多く、活動性が高くなるほど数値は減少していきますので、目安になります。

正常値

赤血球値一男性は400万~540万個、女は380万~490万個。ヘモグロビン値:男性は12.0~16.2g/dl、女性は11.4~14.7g/dl

血小板の数

血小板は、出血が起こるとかたまって血管の破れた部分をふさぎ、出血を止める働きをします。関節リウマチでは、炎症があると血小板の数が増えます。

さらに、病気の活動性が高く治療に対して激しい抵抗性があると、極端に多くなることがあります。逆に、減る場合は薬の副作用が考えられます。

正常値

男性は13.1万~36.2万個/μl、女性は13万~36万個/μl

診断の目安になるリウマトイド因子の検査

リウマチ反応は重要な診断基準

関節リウマチは、免疫の働きに渥(常がみられる病気です。そこで、異常を起こすもとになる自己抗体(自分の成分に反応する抗体)の有無や 種類、量を血液から調べます。自己抗体にはいくっもの種類があり、病気によってあらわれやすい抗体には違いがありますが、関節リウマチの場合は「リウマトイド因子」を調べます。

検査は、リウマトイド因子があるかどうかの反応(陽性反応)をみるものですので、「リウマチ反応」とも呼ばれます。リウマトイド因子をはかる方法はいくつかありますが、RAテストが一般的です。RAテストの数値が20以上になると陽性とされます。自己抗体検査は、病名を確定するために重要です。

しかし、関節リウマチの早期では、50%の人しかリウマチ反応が陽性にならず、すべての経過を通してみても、陽性になる人は70~80%です。つまり、関節リウマチであっても陰性の場合があるため、これだけでは関節リウマチと確定できません。

陽性でもリウマチとは限らない

またリウマトイド因子は、関節リウマチではなくても陽性になることがあります。膠原病では、全身性エリテマトーデスの人の約20~30%は陽性になるとされますし、シェーグレン症候群では70%の大が陽性になるという報告もあります。

膠原病以外の病気でも、肝硬変や結核があると陽性になることがあります。また健康な人でも、若い人で2~4%が、60才以上になると10~20%が陽性になります。

病気の活動性と連動

ただし、リウマトイド因子の値と、関節リウマチの活動性には、ある程度の連動性があります。リウマチ反応が陽性で、その値が高い人ほど病気の期間が長く、関節の破壊も進む傾向があります。

また、リウマチ結節や胸膜炎、肺線維症など、関節以外の症状も多くみられます。

抗CCP抗体検査で早期発見が可能になる

最近、リウマトイド因子検査より精度の高い検査法が登場しました。「抗CCP抗体検査」です。抗CCP抗体は、炎症を起こした滑膜にあるシトルリン化たんぱくというたんぱく質に対する自己抗体で、関節リウマチの人の70~80%がこの抗体をもっているとされます。

また、ほかの関節炎では陽性になる率が非常に低く、関節リウマチだけにみつかる自己抗体でもあります。この抗体検査を行えば、関節リウマチがまだ発症していない早期や、関節のはれが少ない、リウマトイド因子は陰性だが関節リウマチの可能性が高い、といったむずかしいケースの診断が可能になります。

2007年から保険が適用になりましたので、今後は広く利用されるようになると思われます。

生化学検査で病気の有無や副作用をみる

血液中には、肝臓や腎臓の機能を反映する物質があります。その変動をみて、関節リウマチがあるか、薬の副作用による異常がないか、など を調べます。血清は、血液を遠心分離器にかけて血球や血小板などの細胞成分を除 き、さらに、上のほうにたまる液体成分(血漿)からフィブリン(線維素)を除いたものです。この血清に含まれる物質の種類や量を調べるのが「生化学検査」です。  血清には、栄養素やその老廃物、代謝などの仲立ちをする酵素、電解質、色素、ホルモンなどが含まれていて、これらが肝臓や腎臓の機能を反映するのです。

血清たんぱく

血清の中にあるたんぱく質は、アルブミンとグロブリンに大別されます。関節リウマチの自己抗体であるリウマトイド因子は、グロブリンに含まれていて、そのような成分を免疫グロブリン(IgG)といいます。正常なとき、血清中のたんぱく質が落ちたり、肝臓で炎症が起こると増加します。関節リウマチの治療薬の中には、肝機能障害の副作川を起こすものがあるため、ASTとALTの値は定期的にチェックする必要があります。

正常値

ASTは10~40IU、ALTは5~40IU

血清クレアチニン

腎機能をみるための検査です。クレアチニンとは、筋肉を動かすためにたんぱく質を利用したあとに生まれる老廃物で、尿に吸収されて、腎臓から体外に捨てられます。腎機能が低下すると、腎臓のフィルターの働きが落ちて捨てられる量が減り、血液中の値が高くなります。薬の副作用で腎機能が低下することがあるため、肝機能と同じように定期的なチェックが必要です。

正常値

男性は0.8~ 1.2mg/dl、女性は0.6~0.9mg/dl

MMP-3

MMP-3とは、最近利用できるようになった滑膜増殖マーカーで、正式名は「マトリックスメタロプロテアーゼ-3」といいます。これは軟骨基質の成分を分解するたんぱく分解酵素で、関節リウマチの関節のはれの程度を反映するとされます。MMP-3の血中濃度が正常値を超えていると、滑膜にはれが起こっていると考えられます。

正常値

男性は120ng/ml以下、女性は60ng/ml以下

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