リウマチの症状の進行は段階を追って進む

リウマチの症状

リウマチの症状は治療しなければ、関節はじわじわと破壊されていく

関節リウマチでは、滑膜に炎症が起こっても、いきなり関節が破壊されたり、変形したりするわけではありません。関節に傷がつくのは、大体のところ、発病後1~2年で始まるといわれています。それが積み重なって5~!0年で変形が起こりますので、変形が起こる前の早期に病気を見つけ、治療することが非常に重要です。治療をしないと、滑膜の炎症はじわじわと、着実にまわりの組織を破壊し、そうなるともう元には戻せないからです。滑膜炎が起こった関節の変化を整理すると、次の4段階になります。

リウマチの症状 ステージ1 初期

炎症によって滑膜の細胞が増殖し、表面が絨毛状になります。関節液もたまり始めます。たまった関節液がカルシウム分を奪い、骨は「す」が入ったようになり、関節炎の部位は骨粗しょう症になります。ただし、軟骨や骨の破壊はまだありません。

症状

関節の紡錘状のはれ、こわばりや痛み、熱っぽさがあります。

リウマチの症状 ステージ2 進行期

滑膜細胞の増殖によって形成された肉芽が、軟骨にとりつきます。肉芽は軟骨をおおうように広がって、パンヌスという膜状の組織をつくり、軟骨を破壊します。パンヌスとは「1枚の布」という意味です。肉芽の一部は骨にまで侵入し、骨の組織を侵食して嚢胞(袋状のもの)を形成します。ただし、まだ変形するほどではありません。

リウマチの症状 ステージ3 高度期

軟骨が失われ、関節を動かすと骨と骨が直接こすれ合うようになります。また、骨の表面が欠けること(骨びらん)もあります。骨の破壊がさらに進むと、関節がうまくかみ合わなくなり、脱臼や亜脱臼が起こることもあります。

関節の動きが悪くなり、まわりの腱や筋肉の仲縮も悪化して、関節を支えることができず、関節の変形が起こります。

症状

関節がきしむ音をたてたり、痛みのために曲げ伸ばしができなくなります。

リウマチの症状 ステージ4 末期・荒廃期

パンヌスが線維化してかたくなり、骨と骨がくっついて1つの骨のようになることがあります。これが「強直」で、関節はまったく動かせなくなります。

あるいは骨がとけて、骨と骨が離れ、ぶらぶらと不安定になることもあります(ムチランス変形)。いずれにしても、関節としての機能は完全に果たせなくなります。

症状

ここまで来ると、痛みはやわらいでくるようです。

リウマチの症状のもとになる滑膜の炎症

関節リウマチは滑膜に炎症が起こる病気です。関節は骨と骨を連結する部分で、多くの関節は広い範囲で動かせるようになっています。滑膜は、この「動かす」機能のために大切な役割を担っています。関節の骨と骨が向き合う面は、軟骨でおおわれています。

軟骨は、コラーケン(膠原線維)に富み、水分が70~80%も含まれている弾力性のある組織で、関節をなめらかに動かす働きをしています。それを助けるのが滑膜です。

滑膜は、厚さ1ミリにもみたない薄い膜で、関節の内側をおおっています。滑膜からは関節液が分泌されていて、軟骨がこすれ合うときの潤滑油になったり、軟骨へ栄養を補給したりしています。

滑膜は、関節液がもれないように閉じられたビニール袋のような組織で、骨と骨の間につくられた。水まくらともいえるクッションです。関節を動かすとき、かたい骨どうしがぶつかって傷ついたり、痛みが出ないようにしているのが、軟骨と滑膜なのです。

滑膜の炎症がひき起こすはれ、痛み、骨破壊

異常な免疫活動によって滑膜に炎症が起こるようになると、クッション役どころではなくなります。滑膜は充血してはれあがり、もとの厚さの何倍にもふくれあがります。滑膜細胞は増殖し、膜の衣面は絨毛(細かい毛のような突起)状になります。関節液も盛んに分泌されて関節腔にたまり、関節リウマチ特有の「はれ」が起こります。

また、炎症性サイトカインや、プロスタグランディンといった発痛物質も、たくさんつくられます。滑膜には多くの神経が分布しており、発痛物質がとけ込んだ関節液にふれ、くり返し刺激されて「痛み」の信号を送ります。滑膜には浮腫(むくみ)も起こっているため、神経が圧迫されてさらに痛みます。滑膜の炎症が自然によくなることは少なく、しだいに慢性化し、増殖性の病変はまわりの軟骨や骨に入り込んで「破壊」していきます

リウマチの症状が進行すると手指が変形する

リウマチの手の指の症状は、最初はこわばりや、はれとなってあらわれますが、病気が進むにつれ特有の変形が起こってきます。変形した指はひと口で関節リウマチとわかる独特な形で、「リウマチの手は、リウマチ患者の顔である」といわれるほどです。

尺側偏位

親指を除く4本の指の、つけ根の関節がずれたり亜脱臼を起こし、指が外側(小指側)に曲がってしまいます。進行が遅いため、忠者さんは徐々に慣れていき、機能障害はあまり感じないようです。

ボタン穴変形(ボタンーホール変形)

指の第2関節の炎症がつづくと、指の背側の関節包が引き伸ばされ、腱が裂けて、骨が飛び出ます。そのため、第2関節は出っぱって内側へ曲がり、第1関節は外側へそって、ボタン穴のような形になります。

スワンーネック変形(白鳥の首変形)

第3関節の炎症がっづくと、指を伸ばす「すじ」が手のひら側にずり落ち、第3関節が曲がり、第2関節がそり、指先の第1関節は曲がって、形が白鳥の首のようになります。

Z字変形

親指に起こる変形です。第1関節が曲がり、ヒッチハイクをするときのような形になります。ものをつまむ動作が不自由になります。

ムチランス変形

骨が破壊されてとけ、指が短くなります。また、筋肉や皮膚がたるんで指に力が入らなくなります。指を引っぱると、オペラグラスのように伸びちぢみするため、オペラグラス変形とも呼ばれます。

股関節はリウマチの症状の進行が速い

股関節は、体幹と下肢をつなぐ関節で、太もも側の大腿骨頭と、それとかみ合う骨盤側の臼のような寛竹臼からなっています。球関節で、運動の種類が多く、あらゆる方向に動きます。股関節の障害は、関節リウマチの初期は少ないのですが、病気が始まって3~10年ほどの間に、15~40%の人に起こるとされています。

関節リウマチの股関節障害は、2種類に分けられます。ひとつは、滑膜の炎症によって関節破壊が進む場合です。もうひとつは、ステロイド薬治療の副作用、あるいは血管炎によって、大腿骨頭壊死が起こる場合です。 

股関節は、いったん破壊が始まると進行が速く、強い痛みが出ます。この関節は、日常のさまざまな動作で力が加わるところで運動範囲も広いため、おかされると歩行はもちろんのこと、体全体の動きが不自由になります。悪化すると、寝たきりの原因になることもあります。

リウマチの症状の進行、多くの人は、よくなったり」悪くなったりしながら進む

関節リウマチは、いったん発病すると、療養期間は平均20年。なかには、生涯にわたる場合もあります。また、関節の病変は進行性ですから、患者さんは先行きを考え不安にさいなまれます。「いつかは自分も歩けなくなり、寝たきりになるのではないか……」だれもが一度はこう考えるといいます。

しかし関節リウマチになったからといって、すべての人が歩行困難になるわけではありません。人によっては(大変まれですが)、自然に症状が治まることがあります。よくなったり悪くなったりをくり返しながら、じわじわと進む場合もあります。急激に悪化する場合もあります。一様ではないのです。

薬を使わず、なるがままにまかせたときの病気の経過を「自然経過」といい、関節リウマチの自然経過は次の3タイプに分かれます。

単周期型

10%ほどの人は、発病して1~2年で自然に寛解(症状が自然に治まった状態)します。ただし、このようなケースは非常に少ないと考えたほうがよいでしょう。

多周期型

50~60%の人は、関節の炎症がよくなったり悪くなったりをくり返しながら、徐々に全身の関節に広がり、関節破壊も目立ってきます。ただ、 発症のしかた、進行のスピード、障害される関節の場所などは、人によって大きな違いがあります。

進行型

20~30%の人は病状がそのまま悪化し、急速に骨がとけて、ムチランス型関節破壊に至ります。

リウマチの症状の進行、重症化しやすいケース

関節リウマチを診断する際に、その経過を予測することは非常に困難です。ただ、診断時に次のような検査結果が重なって出るケースは、重症型へ移行しやすいと考えられています。

  • リウマトイド因子や抗CCP抗体が、すでに陽性である
  • CRP(炎症反応のひとつ)の数値が高い
  • X線検査で骨びらんがみられる