認知症予防のポイント

認知症の予防のポイント

この記事は福岡の病院の認知症専門医が監修しています
認知症予防のポイント

1.小食、偏食、過食に注意

食事で気をつけたいポイントは、「不足してはいけないもの」と「とりすぎてはいけないもの」に注意すること。必須のものは、抗酸化作用を持つビタミンC・Eやβ-カロテン、たんぱく質・脂質・糖質の利用にかかわるビタミンB群、神経細胞の機能維持にかかわるDHAなどがあります。

ビタミン類を豊富に含む緑黄色野菜は一日350gを目標に、DHAなどが豊富な青背の魚は週に6回は食べたいものです。また、意識して水分をとることも大切。脱水状態になると血液の循環が悪くなり、脳の血管にもダメージが。「アルツハイマー病の患者は水分摂取が少ない」とのデータもあります。

食事に含まれる水分も含め、一日1~1.5リットルを目安に補給しましょう。一方、とりすぎに注意すべきものとは過剰な糖質や脂質などで、糖尿病や高脂血症をまねいて動脈硬化を引き起こす原因に。くれぐれもとりすぎないことが肝心です。

食事の基本は、「バランスよく、バラエティ豊かに、ほどはどの量を」。サプリメントに頼りすぎるのは禁物です。

2.趣味や社会活動から刺激を

脳は楽しいことや好きなことをしていると、活発に慟きます。 65歳以上の人を対象にした調査によると、趣味の活動が活発な人ほど認 知症になりにくかったそう。

とくに編み物、読書、囲碁、将棋、楽器 の演奏、チェス、旅行、ダンスなどの趣味は、脳を活性化させるとの 説もあります。

また、社会とのかかわりも脳を活性化させるのに大いに役立つもの。趣味のサークルやボランティア活動に参加し、いろいろな人とコミュニケーションをとるのもいいでしょう。

「40~60歳にこうした活動を行っていた人は認知症の発症率が低かった」との報告もあり、高齢になる前の活動も大きなポイントになります。

3.頭を衝撃から守る

成人になってからは、一日10万個ペースで減りつづけるという脳の神経細胞。頭を強く打つなどすると、さらに死滅する数が増えてしまいます。不必要に減らさないためにも、転倒などに気をつけて頭を守ることが大切です。

4.危険な兆候を見逃さない

認知症には治せるものと、残念ながら治せないものとがあります。ただ、治せないものでも、早期発見・治療によって進行を遅らせたり、抑うつ、徘徊、幻覚、妄想などの随伴症状を軽減させることができます。

アルツハイマー型認知症の場合は本人の自覚症状がほとんどないため、家族や周囲の人が兆候を見逃さず、早めに医療機関を受診することが重要。脳血管性認知症の場合は、発症のきっかけとなる脳梗塞の発作の前触れ症状を見極めることが先決です。

5.速足ウォーキングなどの運動を

65歳以上の大を対象に、運動を週3回以上する人とそうでない人を比較した調査によると、運動をよくする人のほうが5年後の認知症発症率が低いという結果に。

適度な運動は、血圧を安定させたり、血 液中の余分なぶどう糖や脂質をエネルギーとして消費したりする効果があり、動脈硬化の原因となる高血圧、糖尿病、高脂血症などを改善してくれます。

その結果、脳の血管も守られるものと考えられます。運動といっでも、一日20分程度の速足ウォーキングで充分。周囲の風景を楽しんで視覚や聴覚を刺激したり、家族や友達といっしょに歩いてコミュニケーションをとったりと、プラスアルファの効果も得られます。

また、足腰の筋肉も鍛えられるので、寝たきりの原因と なる転倒の予防にも役立ちます。

テレビつけっぱなしの生活よりラジオ中心の生活に

テレビの視聴時間が長いと、 認知症のリスクが高まる?
認知症予防とラジオ

テレビの視聴率を調べる会社やNHKが行っている調査では、若者は年々テレビ離れが進む一方で、50代以上の人のテレビの視聴時間は高い水準を維持しているという結果が出ています。

ひとり暮らしの場合も、家族と暮らしている場合も、視聴時間に大きな差はありません。家族と同居していても、子供は仕事へ、孫は学校へ行くため、昼間は家でぼんやりとテレビを見て過ごす大も多いようです。

テレビは、一方的に情報を発信するメディアなので、見ているほうにとっては、受け身な刺激しかありません。これでは脳の機能が低下してもおかしくない状態です。

米国の研究では、テレビばかりを見ている人は、そうでない人よりも認知症の発症リスクが高くなる、という報告もあります。日中の時間をテレビにあててしまうと、社会的な活動をする時間が少なくなり、コミユニケーションが減少しやすいことも要因のようです。

音声から想像を膨らませるラジオで脳を活性化

そこで、テレビに代わっておすすめしたいのが「ラジオ」。テレビは映像と音声がセットの情報として入ってくるのに対し、ラジオ は音声だけのメディアです。

テレビには映像もあるので、それ以上想像を膨らませることは難しいですが、ラジオの場合は、音声を聴いて、自分の脳内で映像を描くという過程が加わります。

耳で聴いて、脳内で想像するときには、脳が能動的に働くことで、ほどよい刺激を受けます。脳が活性化され、認知症予防にもつながると考えられるのです。音声情報はうっかりしていると聞き流してしまいやすいので、集中力も必要になります。

テレビをきっぱりやめる必要はありませんが、なんとなくテレビを見ていた時間の一部を、ラジオ生活に切り替えてみてはいかがでしょうか。

行きつけの店などでなじみの関係をつくる

なじみの人がいることで、変化への対応力が高まる
行きつけの店

健康な人の認知症予防としてはもちろんのこと、認知症の人にとっても、「なじみの関係」をつくることはとても重要です。認知症を発症すると、環境の変化をきっかけに症状が急激に悪化することも少なくありません。

これは、ただでさえ環境の変化への順応力が低下している大にとって、大きなストレスになるためと考えられます。

しかし、介護施設のスタッフやホームヘルパーなど、家族以外に顔なじみの人が1人でもいれば、たとえば子供と同居することになって住む家が変わるといった変化があっても、症状は悪化しにくいようです。

なじみのある人がいることによって、安心感が得られ、環境の変化もスムーズに受け入れられるのではないでしょうか。

また、認知症予備群であるMCIやプレMCIを認知症に移行させないためにも、なじみの関係をつくることが、よい影響をもたらすと考えられます。

新しい趣味や店の開拓などで、なじみの関係を増やしておく

なじみの関係を増やすことは、元気なうちから取り組むに越したことはありません。新しい趣味を始めて仲間を増やしたり、気になっていた店に通って、店の人と顔なじみになったり……。

新しい環境は、脳を活性化させます。新しく知り合った人と世間話を続けるのも、脳を刺激するトレーニングになります。

また、退職して時間があるという人は、シルバー人材センターの仕事や地域のボランティアに参加してみるのもいいでしょう。同年代の人と知り合うことができるので、さまざまな情報交換の場にもなるはずです。

いきなり親しい仲にならなくても、「名前は知らないけど、お互いの顔は知っている」というくらいの関係でも充分です。

睡眠の質を高めて毎日脳をリセット

5時間以上の睡眠で脳の老廃物をリセットできる
認知症予防と睡眠

健康な脳を保つためには、毎日最低5時間の睡眠が必要です。眠っている問に、脳内にたまった老廃物が洗い流されるのですが、1日分の老廃物を完全に洗い流すには、5時間かかるといわれているからです。

実際に、睡眠時間が5時間以下の人と、それ以上寝ている人を比べると、後者のほうが認知症の発症率が低くなるという研究報告もあります。

脳内の老廃物をきれいに取り去るためには、脳内の血流がよい状態であるのが、理想的。寝る前に、脳への血流をアップさせる「耳マッサージ」を行うのもおすすめです。

成長ホルモンが 脳細胞の修復を促す

睡眠中は、浅い眠りのレム睡眠と、深い眠りのノンレム睡眠を繰り返しています。ノンレム睡眠の間には、血管や細胞を修復する働 きのある「成長ホルモン」が分泌されます。

ノンレム睡眠の時間を充分にとることで、脳は1日の疲れをリセットし、健康な脳細胞を保つことができるのです。寝ても疲れがとれないと感じている人は、ノンレム睡眠の時間が減って、睡眠の質が低下しているサインかもしれません。以下を参考にして、睡眠の質を高める工夫をしましょう。

快眠のポイント

  • テレビやスマートフォンは、ふとんに入る2時間前までにやめる
  • 昼寝をする場合は30分以内に
  • 眠れないからといって、寝酒はしない

テレビやスマートフォンなどの液晶が発する強い光は、脳を活動モードにしてしまうため、寝る直前までの使用は避ける。昼寝が長いと、夜に眠気が起こりにくくなる可能性があるので、30分以内に。

寝酒はかえって眠りを浅くするので注意。不眠症が疑われる人は医師の指導のもとで睡眠薬を使うほうが眠りの質は高まるので、早めの受診を。

冷えは脳の大敵!シャワーより湯ぶねが◎

冷え症の人は、海馬の血流も低下している
冷え症

女性の身近な悩みのひとつである「冷え」。認知症とも深い関係があります。手足などの末端が冷えやすい人は、記憶をつかさどる 脳の海馬の血流も低下している傾向がみられるという研究結果があるのです。

東洋医学では、古くから認知症は「脳の冷え」で起こると考えられてきました。 冷え症の人は、全身の血流が低下している状態です。脳への血流が低下しても不思議ではありません。冷え症も認知症のリスクのひとつと考えられます。

冷え症に悩んでいる人は、冷えを改善する工夫に取り組みましょう。脳にとってもよい効果を得られるはずです。

毎日湯ぶねにつかつて、冷えを解消する

確実に冷えを解消するためには、湯ぶねにつかるのがいちばん。特に夏場は、シャワーで済ませてしまう人も多いですが、全身の血流 をアップするには、湯ぶねにつかるほうが断然効果的です。

汗をかくと血液の粘度が増し、血栓(血の塊)ができるリスクが高まるので、入浴前にコップー杯の水やお茶を飲みましょう。急激な温度差も脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めるので、寒い季節は入浴前に湯ぶねのふたを開けて、浴室全体を温めておくなどの工夫も大切です。

また、40~42度の湯での入浴は副交感神経を活発にし、リラックス効果が期待できます。睡眠の質を高めるためにもおすすめです。

  • 出典元:厚生労働省 認知症予防マニュアル
    監修 独立行政法人国立長寿医療研究センター 鈴木 隆雄

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