血糖値を上げにくい食事でインスリンの効果を高める

糖質のとりすぎを控えて、インスリンの大量分泌を防ぐ
認知症予防と食事

多くの研究から、血糖値が高い状態の続く糖尿病の人ほど、認知症を発症しやすいことが明らかになっています。認知症と糖尿病の関係において特に注目されているのが、「インスリン」というホルモンです。インスリンの働きによって、糖が脳の神経細胞のエネルギーとして使われます。

さらに、インスリンは 脳の海馬というところに働いて、記憶力を高める働きをするのです。血糖値が高くなると、インスリンが大量に分泌されるとともに、しだいにインスリンが効きにくい体質(インスリン抵抗性)になります。すると、脳は糖をエネルギーとして充分に利用できず、さらに海馬の働きも低下し、認知症を発症しやすい状態になるのです。

この状態を防ぐには、血糖値を上げにくい食事を心がけることが不可欠。ご飯などの糖質をとりすぎている場合は控える工夫をしましょう。

インスリンが効きにくいと脳血管性認知症の発症リスクが2.4倍、アルツハイマー型認知症の発症リスクが2.5倍に

これは1985年~2002年にかけて、福岡県久山町の65歳以上の住民828名を追跡した疫学調査から算出された数字。調査開始時点で耐糖能異常のない人の認知症の発症率を「1」として、耐糖能異常のある人の発症率を算出した結果。

耐糖能異常とは、インスリン抵抗性によって、血糖値に異常のある状態。耐糖能異常のある大は、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症のいずれも発症リスクが2倍以上となった。(日本老年医学会雑誌「高齢者における耐糖能異常と高血圧が認知症発症に及ぼす影響」2007年より)

糖質摂取量の目標は1日130~200g

日本人の平均的な1日の糖質摂取量は300~450g といわれている。高血糖を防ぎ、インスリン抵抗性を起こさないようにするには、主食のご飯を8分目にしたり、砂糖の入ったお菓子を控えるなどして、1日130~200gほどに抑えるのが理想的。

糖質の多い食品のとりすぎをやめる

甘いものやご飯、パンをとりすぎないようにする

糖質の多い食品を食べすぎると、糖尿病を招き、認知症のリスクも高まります。糖質の多い食品の食べすぎに気をつけることで、血糖値の上昇を抑えられます。私たちが日ごろ口にしている糖質のほとんどは、「砂糖などの甘いもの」と、ご飯やパンなどの主食に豊富な「でんぷん」です。

おにぎりだけ、パンだけというように、糖質ばかりの食事にならないように注意が必要です。「糖質=炭水化物」と誤解されがちですが、「炭水化物=糖質十食物繊維」のこと。食物繊維は、むしろ血糖値を上げにくくします。ご飯やいも類、豆類は糖質が多くても、食物繊維も豊富なので、極端に制限するのはやめましょう。

糖質のとりすぎを防ぐコツ

1.ご飯茶碗を小さくする

ひと回り小さいご飯茶碗を使えば、ご飯の量を控えても少なく見えず、満足感が得られる。

2.ご飯を減らす分、低糖質の食品を追加する

主食を控えめにする分、糖質の低い肉や魚、大豆製品、きのこなどを意識的に追加する。

主食は小麦より、米やそばに

そば

食後血糖値の急上昇グルコースースパイクに注意

糖質のとりすぎなどで、食後に血糖値が急上昇する現象を「グルコースースパイク」といい、糖尿病のリスクをぐんと高めることがわかっています。近年、糖尿病がなくても、グルコースースパイクが起こっている人が多いことも明らかに。糖尿病は認知症のリスクに直結しますから、グルコースースパイクを防ぐ食べ方の工夫が必要です。

米やそばを選び、血糖値の急上昇を防ぐ

そこで、主食で積極的に選びたいのが、「米(ご飯)」と「そば」。小麦から作られたパンや麺類は、小麦を粉状に精製しているため、消化・吸収がよく、血糖値が急上昇しやすいのですが、粒状の米(ご飯)はゆっくり消化されるため。

血糖値の上昇が比較的ゆるやかです。白米よりも食物繊維が豊富な玄米や雑穀米なら、より血糖値の上昇が抑えられます。麺類では、そばは、うどんやパスタよりも食物繊維が多いため、血糖値の上昇を抑えることができます。

グルコースースパイクを防ぐ食べ方

ときには、小麦製品を楽しむことも問題ありませんが、そば以外の麺類やパンが多くなりがちという人は、意識してご飯やそばの割合を増やすようにしましょう。ただし、比較的血糖値を上げにくいとはいえ、ご飯やそばも糖質の豊富な食品なので、食べすぎには注意。グルコースースパイクを防ぐ食べ方を心がけましょう。

血糖値の急上昇を防ぐには?

1.ご飯はさましておにぎりにする手も

ご飯はさますと、ご飯に含まれるでんぷんの一部が「レジスタントスターチ」という、食物繊維と似た働きをするでんぷんに変わる。レジスタントスターチの割合が増えたご飯は、血糖値を上げにくくするので、さましてから食べるのがおすすめ。毎日冷やご飯というわけにはいかなくとも、ときにはさましておにぎりなどにしてみては。麺類も同様に、冷やし麺のほうが、血糖値が上がりにくい。

2.玄米や雑穀を混ぜる

白米に食物繊維の豊富な玄米や雑穀を混ぜると、食 後の血糖値の上昇がゆるやかになる。玄米や雑穀には、日々の食生活で不足しがちなビタミンB群が豊富なこともメリット。玄米には抵抗がある人も、白米とのブレンドなら比較的食べやすい。

3.おかずを先に食べる

空腹の状態でご飯やパンなどの主食を最初に食べると、血糖値が急上昇する。糖質の多い主食の前に、血糖値を上げにくいたんぱく質や食物繊維が豊富なおかずを食べることを意識するとよい。かみごたえのあるおかずを最初に食べることで、満腹感が得られやすく、主食の糖質の食べすぎも防げる。

炊き込みご飯で主食の糖質を抑える

ご飯に血糖値を上げにくい食材をプラスする
炊き込みご飯

主食を具だくさんの炊き込みご飯にするだけで、糖質のとりすぎを防ぐことができます。具として血糖値を上げにくい肉や魚、食物繊維が豊富な野菜、きのこ、海藻類を加えることで、白米だけのご飯より血糖値が上がりにくくなるのです。平均的なご飯茶碗1杯分の白ご飯は約150gですが、具が入ってボリュームアップするため、同じ茶碗でもご飯の量そのものは約120gになります。

炊き込み&混ぜご飯のおすすめ食材

1.食物繊維が豊富な食材

食物繊維は糖質の吸収をゆるやかにし、血糖値の急上昇を防いでくれる。きのこや海藻類など、食物繊維が豊富な食材を積極的に使って。

2.だしの出る肉や魚介類

肉や魚介類を加えると、うまみやコクが出て、おいしさアップ。血管や細胞の材料となる良質なたんぱく質も摂取できる。 

おかずは調味料の糖質に注意

調味料と糖質

味つけに使う砂糖を減らしておかずの糖質をオフ

おかずに使われる肉や魚、葉野菜やきのこなどの食材は、糖質が少ない食材です。いも類は糖質が多めですが、血糖値を上げにくくする食物繊維も豊富なので、極端に控える必要はありません。おかずで注意が必要なのは、調味料の糖質です。

砂糖をたっぷり使った甘辛の味つけのおかずをよく食べている場合は、要注意。和食では、昔から甘辛の味つけが好まれてきましたが、砂糖は血糖値を急上昇させてしまいます。味つけの砂糖をいつもの半分にするなどの工夫をしましょう。

甘みだけを減らすと味のバランスがくずれてしまうので、塩分も一緒に減らすのがポイントです。減塩にもなり、一石二鳥です。だしをしっかりきかせたり、しそやしょうがなどの香味野菜を加えたりすることで、おいしく食べられます。

糖質が多めの調味料の重ね使いに注意

砂糖のほかにも、糖質が多めの調味料があります。もち米から作られるみりんや、小麦粉をたっぷり使ったカレールウ、砂糖を使ったトマトケチャップなどが代表的です。ケチャップを使った主菜と、みりんと砂糖を使った副菜など、糖質の多い調味料の重ね使いにならないよう、注意してください。また、カレーはご飯とセットで食べるため、糖質のとりすぎになりがち。糖質控えめのカレールウも販売されているので、そういった商品を活用するのも一案です。

甘いおやつは昼間のうちに

間食は上手にとれば認知症のリスクにはならない

糖質のとりすぎを防ぐためには、間食の食べすぎをやめることが不可欠です。糖尿病は認知症のリスクを高めるので、甘いおやつを食べて血糖値の急上昇を繰り返していると、認知症がどんどん近づいてきます。

しかし、間食を完全に断つ必要はありません。心身が疲労して血液中のブドウ糖(血糖値)が減少 しすぎたとき、糖質を摂取することで、直ちにエネルギーを補給でき、ストレス発散の効果も期待できます。そんなときは無理に甘いものをがまんしてストレスをため込んでしまうことのほうが、認知症予防にはマイナスです。

糖尿病のリスクを高めず間食を楽しむコツは、タイミングを意識すること。1日の中に、血糖値が上がりにくい時間帯と上がりやすい時間帯があるのです。

血糖値が上がりやすい朝は、糖質を控えめに

1日の中の血糖値の変化を左右するのは、血糖値を下げる働きをするホルモンの「インスリン」と、体内時計を調節しているたんぱく質の一種「ビーマル1」です。夜中の3~4時ごろ、体内では成長ホルモンの分泌が増えはじめます。すると、成長ホルモンの影響で、血糖値も明け方にかけて上がりやすくなります。

この現象を、医学的には「暁現象」といいます。血糖値の暁現象が起こると、血糖値を下げる働きのあるインスリンの分泌量も増えます。インスリンは、血糖値を下げる ために、血液中の余分な糖を中性脂肪に変えて、脂肪細胞に蓄えます。

つまり、インスリンの分泌量が増えている状態で糖をたくさんとると、太りやすくなってしまうのです。肥満は糖尿病や動脈硬化の原因となるので、認知症予防の観点でも大敵です。インスリンの分泌量が増える朝方には、糖質のとりすぎには注意が必要です。

ビーマル1の働きが強い夕方から深夜の間食にも注意

たんぱく質の一種である「ビーマル1」も、血糖値の上下動のカギを握っています。ビーマル1は体内時計のリズムを調節するほか、食べ物から摂取した糖質や脂質の分解を抑制し、体内にため込みやすくする働きがあります。

そのため、ビーマルーの合成量が多い18時から深夜2時にかけては、間食をとると血糖値が上がりやすく太りやすい時間といえます。インスリンとビーマル1の分泌のリズムを合わせると、間食のゴールデンタイムは、14時から15時ごろ。間食をとるなら、この時間帯がねらい目です。

血糖値を上げにくい間食のとリ方

1.糖質の多い甘いおやつは14時~15時に

砂糖を使った糖質の多いおやつを食べるときは、もっとも血糖値が上がりにくく、脂肪をためにくい14時~15時に。夜から明け方の時間帯の間食は、血糖値を急上昇させるので避けるようにする。甘みはなくても、小麦粉を使った焼き菓子や、米から作られるせんべいやおかきなどの米菓も糖質が多いので、要注意。

2.朝の甘いコーヒーや、夜食の炭水化物は控える

朝は実は太りやすい時間帯。砂糖入りのコーヒーだと、血糖値が上がりやすく、肥満や糖尿病のリスクも高まるので、朝の1杯は無糖で。また、インスリンやビーマル1の分泌が多くなる夜は血糖値が上がって太りやすいので、炭水化物などの糖質の多い夜食は控える。小腹が空いたら、糖質の少ないコンソメスープや無糖のホットドリンクを。 

  • [1]厚生労働省 認知症予防マニュアル
    監修 独立行政法人国立長寿医療研究センター 鈴木 隆雄
    https://www.mhlw.go.jp/...
    [2]厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要
    https://www.mhlw.go.jp/...
    [3]認知症|疾患の詳細|専門的な情報|メンタルヘルス|厚生労働省
    https://www.mhlw.go.jp/...

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